歯車が狂ってしまったのはいつ?


















ハートのエース




















わかんないわかんない。
や、コイツがよくわからん奴だなんてことぐらい知ってたつもりだけど。それでもやっぱりわかんない。
コイツの行動、言動は意味がわからなさすぎる。
何考えてんだコイツは。

















「アンタ、とうとう私にまで手を出すほど女に飢えてたのか」


私が眉をひそめてそう言うと芭唐の先ほどまでふくらませていたフーセンガムがパチンと割れた。
「何言ってんのお前」
何言ってんのって?こっちが聞きたいっつーのこの馬鹿ラ!
「いやだからさっき言った通りですよ」
「別に女には飢えてねぇけど」
「そうじゃなくて!」
「何が言いてぇんだよテメーは。たかがキスぐらいで」
芭唐がめんどくさそうに言った。
「…わかってんじゃん」
私はカーペットの上に座ったまま芭唐を睨む。
芭唐が女癖が悪いのはもう充分に承知してた。
それでも芭唐は私には今まで1度も手を出したことがなかった。
同じ部屋で一晩過ごしたとしても、だ。
そんなことぐらい幾度とあった。
私と芭唐は性別なんてゆうに越えた友達だったから。
だから私は芭唐のことを信用していたのになんだかこれじゃ裏切られた気分。


「貸して」
「…何を?」
芭唐は顎でトランプケースを指した。
「…何に使うのよ」
そう言いながら私は芭唐にトランプを渡す。
「はぁーいここにトランプがありまーっす」
トランプをケースから出した芭唐はそれらを手際よく繰りながら妙なテンションで言う。
「タネもしかけもありません。さぁーてここから1枚ちゃんに引いてもらいまーす」
何をやりだすんだコイツは。
私は眉をしかめた。
「その前にひとつ、芭唐くんの予想ではちゃんはハートのエースを引くことになってんだけど」
そう言って芭唐はニヤリと笑った。
「…絶対引かない」
「そ!じゃあもしちゃんがハートのエースを引いちゃったときはちゃんは芭唐くんの彼女になりまーっす」
「は?!」
私は思わず声をあげた。
「嫌ならハートのエースを引かなきゃいいだけっしょ?こんだけの枚数あんだから確立はかなり低いハズだしな」
そう言って芭唐はクッと喉で笑った。
や、当たらないとは思うんだけどさ。どうしたら…。
「さ、どーぞ」
私は恐る恐る芭唐の手元から1枚のカードを引き抜く。
私は目に飛び込んできた映像を疑った。
「ね、どうだった?」
芭唐が楽しそうに言う。
…図ったな。
私の目に映ったのは1つのハート。
「おー!芭唐くん大正解ー!!」
芭唐がおどけて言った。
「ちょっと待ってよ!なんで当たるわけ?」
納得できなくて私が言うと芭唐はニヤリと笑った。
「この俺が賭けに負けたことがある?」
私はガックリと肩を落とした。
「今日にキスしたのもイチかバチかの賭け」
そう言って芭唐は私の手からハートのエースを引き抜くともう1度私にキスをした。
「俺の勝ち」
唇を離すと芭唐は嬉しそうに言った。
きっと今私の顔は赤いんだと思う。
「んじゃ今日からは友達じゃなくて俺の彼女な」
そう言って芭唐は満足そうに笑う。
…芭唐にはやっぱり勝てないな。
いつの間にか私は芭唐の罠にかかっていたのだった。
いつの間に好きになってたんだ?こんなにも。
私はコクンと頷いた。





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ユリサマのリク。
遅くなりすぎで申し訳ないです…!
芭唐は恋愛にも賭けにでます。
でもきっと自分の勝利を確信してるんだよ。
なんて思って書いた文。駄。

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