「・・・・ねぇ、大河」

「なんDa?」

それは一緒に帰っていたときのこと。


「私・・・・もう限界みたい」

「別れよ・・・」































Once More...






























「じゃ、私、今日寄るとこあるからここで曲がるね」


――――バイバイ


そういう、とはくるりと背を向けると走り去って行ってしまった。

俺はが走り去っていくのをとめることができず、ただ呆然とその場に立ちつくしていた。

――――こんなのってありかよ・・・・・





















「お・・・俺と付き合ってくださ・・い」

語尾変換もままならないくらい緊張していた俺。


ずっと好きだった。

いつもだけ見ていた。


それを聞いたは、頬をほんのり赤く染めながらよろこんで、と言った。

その時のは最高に可愛かった。

もちろん、今でも可愛いけどな。

あのときのの声、表情、全てはっきり覚えている。



それが始まり。



は、俺が凪やほかの女たちを口説いていても何も気にしていないようだった。

こんなことしたら駄目だ・・・そう思っていてもやっぱり口説いてた。

はそんな俺を見ていても何もいってこなかった。

何も言わないに俺は甘えてた。



――― 俺が悪かった

  許してくれ―――










そのころ、は全速力で家に向かって走っていた。


制服のスカートが風をうけてばたばた音をたてていた。

しかしそんなことを気にする余裕は今のにはない。


寄るところなんて本当はあるはずがなかった。

見え透いた嘘をついてしまった。



でもそんな嘘をついてでもあの場から逃げたかった。


告白してきたのは大河だったのに。

ずっと好きで、でも一人の人に縛られるのが嫌いそうだったからあきらめてた。


だから、告白されたときすごく嬉しかった。




付き合い始めは口説く回数が減っていた。


このまま減れば・・・と思っていたけどやっぱり甘かった。

女の子を口説いてるのをみるたび悲しくなった。


大河がこういう人だって知っていたけど。

でもああだとかこうだとか言って大河を束縛したくなかった。




猪里はそんな大河を見て苦笑してた。



ずっと我慢してたけど・・・ついに限界が来た。

自分勝手だって・・・こんなの私のわがままだってわかっているけど、私は彼に別れを告げた。


少し遠回りな言い方だったかもしれないけど・・・・

でもわかるよね。


――― ごめんね。忍耐力なくて。





そんなことを考えていたらアパートに着いた。


私は現在一人でアパートに住んでいる。

がちゃがちゃと乱暴に鍵を開けて家に入る。



鞄を床に放り投げると制服のままベッドに倒れこんだ。





本当は別れたくなんてなかった。


悪いのは、私。

私が勝手に大河のこと溜め込んで勝手にキレて、一方的に別れを告げてしまった。









「大河・・・・」










気づいたら名前を呼んでいた。

そうしたら無性に寂しくなって私は泣いた。


泣いて泣いて・・・・泣き疲れて私は眠ってしまった。









目が覚めたら、部屋の中は結構暗かった。



カーテンを閉めていない窓からは淡い月の光がさしていた。

そのまま起きる気にもなれなくて、ごろごろしていた。


ふと時間が気になって手元においてある時計を見た。



PM7:30。



確か、学校を出たのが5時くらいだったはず。


途中からずっと走って帰ってきたし、少なくても2時間は寝てたわけか・・・。

体を起こすと、頭に鈍い痛みが走る。


・・・・・頭が痛い。

泣いたせいだろうか。


そんなことを考えてたらお腹がなった。

こんなときにもお腹がすくなんて人間はつくづく便利にできてるな・・・と思った。


そんな自分に苦笑しながら、よろよろと起き上がると私は台所に立った。








ごはんも食べ終わってゆっくり休んだら大分落ち着いてきた。


それから、風呂に入って今日のことをぼーっと考えていた。





風呂から上がったけれど何をする気にもならないし何もすることがない。


今日はもう寝よう・・・・。











次の日。


朝起きて時計を見る。


AM9:30。


やばい、完全に遅刻だ。

あわてて朝食(といってもパンと牛乳だけ。)をとり洗面所にたったとき、私は自分がどんな顔をしていたか気づいたのだった。


目・・・・すごいはれてるよ・・・・まぁ、昨日泣きまくったからだけど。


こんなんじゃ学校行けないよ…。



私は学校を休むことにした。









「虎鉄ーーおはようっちゃ!」


猪里が何時もの笑顔で話しかけてきた。

おはYo、と自分の声かと信じられないような声で、返事をした。



「虎鉄・・・なんかあったと・・・・・?」

猪里が心配そうな表情で聞いてきた。


「別Ni・・・何もないZe・・・・」

それから猪里はなんかいろいろと俺に聞いてきた気がするけれど、俺は軽く受け流した。






その日の授業はいつも以上に上の空だった。

サボる気にもなれず、ただボーっと黒板を見ていた。






部活のときも、らしくないミスばっかりしてた気がする。


こんなに上の空だった部活ははじめてで。

凪を見ても口説く気にならない。





―――もう一回のところに行ってみるか・・・





それが部活中にずっと考えて出した結論。


このままじゃいつになっても立ち直れないから。

自分なりにケリをつけようと思った。





その日、部活が終わってからの家にまっすぐ走っていった。







ピンポーン







こんな時間に誰だろ・・・そう思ってドアを開けると大河が気まずそうな顔をして立っていた。


は思わず来ないで、と半ば叫びながらドアを閉めてしまった。

心臓がすごいどきどきしているのが自分でもはっきりとわかった。




・・・・」




私は何も言わずにただその場に立っていた。


ドアを隔てて聞く大河の声。

その声は少し震えている様な気がした。


わたしは胸が締め付けられるようだった。




「ごめん・・・Na・・・」




今までに一度も聴いたことがない、大河の暗い、悲しそうな声。


大河!!


そう声が聞こえたとき、我慢ができなくて私は思わずドアを開けて大河に抱きついていた。


大河は突然のことでびっくりしていたが、すぐに私を抱き寄せてゴメンNa、って言ってきた。



「もういいよ・・・私もごめんね・・・」





―――こうして私と大河は別れることなく仲直りしたのだった。







「大河おはよー」


「おはYo!今日もCUTEだNa☆」

「そりゃドウモ」

「なんか今日の冷たいNa・・・」

そういっていじけはじめた大河がなんか可愛らしかった。(本人に行ったら怒るだろうけど)


「大河ー、ごめんってば。ホラ、ずっといじけてたら置いてくよ」

「そっ…それは勘弁してくれYo!」



あれから、大河の浮気はなくなった。

私は、すごく幸せな時を送っている。



今日も私は大好きな大河と一緒に学校へ行く。







happy end.....







あとがき。

優江さまへ捧げます。誕生日夢ありがとうございましたv
お礼がこんな暗め(?)なのになってすいません(><)
しかも初虎夢・・・・。して強制終了してるし・・・。
どうか見捨てないでやってください。これからもよろしくお願いします(図々しい)

2002.10.15 久遠 真沙


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