「何してんの、お前、こんなトコで」


















Rain is a sunrise meeting.



















銀時の手に握られた傘のおかげで銀時の周りだけ雨が降っていなかった。
何の模様もない透明なビニル傘にザァザァと雨の音が響く。
女は黙って焦点の合っていない目で銀時を見た。


「こんなに濡れちまって。風邪ひいてもしんねーぞ」


女は目を伏せて折りたたんだ自分の膝に顔を埋めた。
銀時はひとつ溜息をつき女に近づくとその女の腕をひっぱった。


「オラ立て」


女は一向に動こうとしない。
銀時は再び小さく溜息をつき傘をたたむとその場に投げ捨て、女を両手で持ち上げた。


「くっそーなんで俺まで濡れなきゃなんねェんだ!」


使われなくなった傘は路地にそのまま残された。
バシャバシャと銀時の歩く音が誰もいない静かな道に響いては雨の音で消されていった。


「ただいま」


銀時がドアを開けると中からは暖かい空気といつもの声がした。


「おかえり…ってなんでアンタそんなに濡れてんだよ!!つーか誰その子?!」


新八が銀時の腕の中にいる少女を見て慌てて声を上げた。
ドタドタと足音を立てて銀時のいる玄関へと近づく。


「あー…拾った」


銀時がやる気のない声で呟くとすかさず新八がツッコんだ。


「は?!何それェェェェ!!ねぇ拾ったって何なの?!」


「それはいいから先タオル持ってきてくれや」


新八は銀時に掴みかかりそうな勢いで言ったがその台詞を聞くと同時にタオルを取りに駆け出した。
すっかり濡れてしまった銀時の髪や服の袖から水滴がポタポタと落ち、玄関に小さな水溜りを作った。


「…どうしたもんかねェ」


今だ目を覚まさない腕の中の少女を覗き込み銀時は独り言のように呟いた。
















「あー!くそ!寒ィ!」

銀時がタオルでゴシゴシと髪の毛を拭いていると新八が静かにして下さいよ、と銀時に向かって言った。
風邪をひくから、と銀時が着替えさせようとしたところ新八の蹴りが入り、結局は神楽着替えさせてもらった少女は布団の中で目を瞑ったままだった。


「熱があるみたいですね」


新八が言うと銀時はトコトコと布団に近づいてその前で膝をついた。


「そりゃああんな雨の中傘もささずに座ってたらなァ」


その横で神楽も心配そうに少女を見つめた。


「つーか誰も俺の心配はしてくれないわけね。俺も雨の中コイツ担いで歩いてきたのによ…」


銀時の言葉に誰も反応を返すことはなく銀時はガックリと肩を落とした。
















やがて少女がうっすらと目を開けた。
すぐ傍でずっと少女の様子を伺っていた神楽が嬉しそうに声を上げた。


「目を覚ましたあるヨ!」


それを聞いてテレビを見ていた銀時もお粥を作っていた新八も一時それぞれやっていたことを中断して布団の周りに集まった。
少女は上半身を起こし不思議そうに辺りを伺った。


「ここは…?」


「俺の家だ。俺が雨の中死にそうなお前を担いできてやったんだから感謝しろよな」


銀時がそう言うと少女は慌てて立ち上がって礼をしようとしたがそれを新八が熱があるんだからと静止した、と同時に神楽が銀時に蹴りを入れた。


「ちょっとォォォ何すんのお前!痛!」


銀時が頭を押さえてもがいていると神楽は少女に向かってニッコリと微笑んだ。


「名前は何て言うアルか?」


少女は戸惑いながらも神楽の笑顔に安心したようで「です」と答えた。


、私は神楽。よろしくネ」と神楽が言うと新八が「僕は新八、そしてこっちにいる白髪パーマは銀さんです」と言うとすかさず銀時がパーマが何だァァァァ!!と叫んだ。
はその様子を見てニッコリと微笑んだ。


「え…と銀さん…本当にありがとうございました」


がそう言うと銀時が照れくさそうに自分の髪の毛に触れた。


「しばらくここでゆっくりしてていいよ。とは言ってもこんなところじゃゆっくりもできないだろうけど…」


新八が横目で神楽と銀時がギャアギャアと言い合いをしているのを見ながらに向かって言うとはありがとうございます、と微笑んだ。



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送