ハウルは決まってこの時間に会いに来る。
日が高く昇り、優しい風が吹くこの時間に。
「やぁ、姫」
金色の髪の毛を風に揺らし、にっこりと微笑む。
はゆっくりとそちらを振り向いた。
その顔は少し不機嫌そうだ。
「前から思ってたんだけどそろそろ姫って呼ぶのやめてくれない?」
みんなそう呼ぶんだもの。と
「あたしにもちゃんと名前があるのに」
はキュッとくちびるを噛みしめて俯く。
そうしながら風にさらわれた栗色の髪を耳にかけるしぐさはとても美しい、ハウルは思った。
「それは失礼いたしました、プリンセス・
少しおどけたようにそう言っての白い手の甲にそっと自分のくちびるをよせた。
自分たちの頭の上では一面の青空を白い雲がのんびり動いていく。
「でもいったいどうして?」
「ひとりの人間として扱ってほしいの。姫だなんていうお飾りはいらないわ」
の白いシフォンのスカートがふわり、揺れた。
「へぇ…」
少し間をあけてハウルが続ける。
「でも僕はちゃんと''を見てるよ。この街の'お姫サマ'じゃなくてね」
「じゃあどうして名前で呼んでくれないの?何だかハウルが遠くに感じられてヤだ」
少しむくれてそう言ったの顔をハウルは驚いたように目をパチくりさせて見たあとプッと吹き出した。
「何がおかしいのよっっ」
は少し強めに返した。
ハウルはごめんごめん・といいつつまだ少し笑いを含んだ目をしていた。
「いや、がそんな風にとらえていただなんて思ってもみなかったよ。心外だな」
「それで何で笑うの、魔法使いサン」
はまだ納得できてないようだ。
「僕が君のことを姫と呼ぶ理由、知りたい?」
はハウルのことをキッと睨むような視線を投げかけつつも頷いた。
ハウルは満足気に微笑むとの細い腕を掴み自分のほうに引き寄せた。
そしての耳元に顔を寄せ、そっと囁く。
「僕だけのお姫サマってことさ」
そうしての両肩にそれぞれ自分の手を置き、少し身をかがめて愛しいひとの顔を覗きこむ。
風にさらりと揺れる前髪。ハウルのビー玉のように透き通った青い瞳がとらえたのは赤い顔をした自分だけのお姫サマ。
ハウルはやわらかい笑みを浮かべるとそのくちびるにやさしくキスを落とした。

(2005.1.5 ハウルに惚。でもかなり非似)

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