市中見回りから帰ってきた土方を見ては目を丸くした。








「ど、どうしたんですか副長…」
「あ?」

は自分のいた場所から助走をつけこちらに目も合わさずにどこかへ行こうとする土方の背中に蹴りを入れた。
予期せぬ出来事に鬼の副長と呼ばれる土方もすこし前のめりになる。
「ぐはっ!…っ何しやがんだテメェェェェ!!」
怒りなのか何なのかとにかく凄い勢いでこっちを睨みつけた土方の目線をはとらえた。

「…やっぱり」

しまった、という表情をした土方だったがもう遅い。
「救護室へ行きますよ副長」
がキツイ口調でそう言うと土方はチッと舌打ちをしてそれに従った。



「一体何やってたんですか。総悟くんに斬られたんですか?」
はガーゼに消毒液をしみこませながらそう言った。
「違ェェェ!」
間髪を入れずに土方がそれを思い切り拒否する。
がそのガーゼを土方の目の上に当てると心なしか土方の表情が歪んだ。
「目の上の傷は治りにくいんです。たとえ浅くても酷く血が出る」
がそう言うと土方はわかってる、とぶっきらぼうに言った。
「眼球に傷がつかなくて良かったですね」
そう言っては立ち上がり棚から塗り薬を出した。
「一応、薬塗っときますから」


















「…何するんですか」
「お前が顔近づけんのが悪ィ」
土方が勝ち誇ったように笑った。
「だって薬」
がそう言いかけると土方は再びの唇を自らのそれで重ねた。






「これが俺の特効薬だ」






そう言って土方は救護室を出て行った。
後に残ったのは土方の微かな煙草の香りだった。



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