コントラスト








「つめたい」

が言う。吐く息は白く凍える身体。凍りつきそうなのはその指先だ。
俺はの方を一瞥した。
は俺の視線には気づかずに相も変らず白い息を吐いていた。
黒の隊服に白のコントラスト。
照れ隠しのようにすこし乱暴にの手をつかむ。

「ひじかたさんの手もつめたい」

突然手をつかまれたことにすこし、おどろいたのか、
それとも自分の手のつめたさに馴染めなかったのか目を細めてが言う。
ふたりの指先はまだつめたい。

「こうしてりゃじきにあったまるだろ」

ぎゅっと指先をの指先にからめる。

うん。でもあたたかいよ。ひじかたさんのこころが。

素直じゃない俺には到底言えそうにもないセリフをサラリと言ってふわり、
わらうをどうしようもなく愛しいと思った。
ゆっくり瞳をとじてまたひらく。となりにはがいた。しあわせだ。
の吐く白い息さえ愛しかった。どうしようもないのは俺なのかもしれない。




(05.2.21 雰囲気だけの短いおはなしを書きたいと思って撃沈)

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