「はー…」




私は大きく溜息をついた。


まるで自分の家かのような態度でベットに寄り掛かり、雑誌を読んでいるのは犬飼冥だ。


「何しにきたのよ」


私が横目でちらりと彼を盗み見ると冥は目線は雑誌に向けたまま別に、とだけ答えた。

















ダイナミズム

















私と冥は昔からの幼なじみで家も向かいにあり、近いなんてものじゃない。
それはわかってるんだけどわざわざ人の部屋までやってきて特に会話を交わすわけでもなくひとりで雑誌を読み耽るのに意味があるんだろうか、また一体何のために、などと疑問を持たずにはいられなかった。


「…彼氏ほしいなぁ」


彼氏ぐらいいればせっかくの休日にだんまりしている幼なじみと一緒にいる必要もないのに。
そう思い別に誰に言うわけでもなく独り言のように呟くと冥が初めて雑誌から顔をあげた。


「好きな奴でもいんのか?」


冥が自分から喋りかけてきたことに驚いて少し間をあけてそういうわけでもないけど、と小さく言った。


「とりあえず…」


冥が雑誌を閉じてこっちを見た。


「俺が彼氏じゃ駄目か?」


「え?」


さっきまで黙って雑誌を読んでたくせに急に何を言い出すんだ、と私は眉間にシワをよせた。


「とりあえず俺はが好きだ」


それを聞いて私は少し戸惑ったあとにっこり微笑んだ。


「…良くできました」


冥がどういうことだとでも言いたげにこっちを見た。


何でわざわざ冥が私の家に来るのか、そして私も何故それを追い返さないのか。
長年一緒にいるせいだろうか、2人はなんとなくそれを理解していた。


「わかってたんでしょ、冥も」


私がそう言うと冥はまぁな、とだけ返した。


彼は私の返答、気持ちを知っていて言ったんだろう。
そうじゃなきゃこんなこと言うような人じゃないと思う。
私がいつも冥を追い返せないことを知っていてこいつは私の家に来るんだ。


「私も冥のこと好きだよ」


そう言うと冥は黙って頷いた。





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アヤナサマのリクです。
遅くなった上こんな駄文で申し訳ない…。


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