「やっぱええなぁ。大阪 ( ここ ) は」
こたつにもぐりこんでいる一銭が言う。
コイツは久々に帰ってきたと思いきやこたつから離れようとしない。
「どうしたん急に」
一銭が何かあったかいもんが飲みたいとか言うもんだからしかたなくいれてやったココアを彼の前に置く。
コトり。カップと机が触れる音。
「みんなフレンドリーっつーかなんちゅーかみんなワイのこと知っとうやん?」
一銭がカップに手を伸ばす。少しのんで熱い・と言う。そうだコイツは猫舌だった。
「そんなん当たり前やん。一銭も1年前までずっとここに住んどったんやから」
こたつに入る。中はあったかい。
「いや何かそういうことやなくてな。東京 ( あっち ) はみんな冷たい気がしてな。いやもちろん優しいひともちゃんとおるねんけど。ワイの受けた印象はそうやってん」
「ふーん…」
やばい。ウチもこたつから出れんくなりそうやわ。そう思った。
「学校の奴らはワイのこと怖がって近寄らへんしなぁ」
「煙草なんか吸うからや」
健康にもよぉないのに。
一銭は小さく苦笑した。そして続ける。
「だからこっちはええなぁと思って。あったかいやん」
こたつもココアも。
「ちゃんとワイのこと、心配してくれるひとがおる。そうやろ?
それからひとも。
「自惚れすぎやわ」
「あったかいな。も。あったかい」
ふいに一銭引き寄せられる。そしてぎゅっと力を込めて抱きしめられた。
「生きてんねんから当たり前やろ」
冷たかったらこわいわ・わかっててそう言った。
「心配かけてゴメンな」
一銭が呟くように言った。
何でかわからんけど涙が出てきた。
「アホ…!そんなん言うなら行くなや!ずっとここにおってや!ウチが傍におったるさかい。だから…」

ウチの言葉は一銭に遮られた。
「好きやで。ほんまに」
もーほんまに泣き虫やなぁは・そう言って一銭はウチの頭をポンポン、と撫でた。
「っ…一銭は卑怯や…」
そんなんでウチの涙が止まるわけがないのに。


(2005.1.10 好きやから傍におってほしい。でも好きやからこそ束縛はしたくないんや)


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