ただいま・愛しいひと。 




「あらーもしかしていっくん?」
ちらり。そちらを振り返る。そこには懐かしいひとの顔。
一銭の表情がぱぁっと明るくなる。
「八百屋のおばちゃんやん!久しぶりやなぁー!」
「えらい大きいなって。急に帰ってきてどうしたん?あ、ちゃんに会いに?はよ行ったりよー。"一銭のやつ何の連絡もよこしよらん"言うておこっとったよ」
おばちゃんがそう言って笑う。
「ほんまかいな。そりゃ恐いわ」
今から家行こうと思とったのに。
一銭もそう言って笑った。
おばちゃんがほなね・と言って再び自転車のペダルを漕ぎ出す。
懐かしい。この風景も。全部。
たった1年…いやもうちょいかな。でも2年はたってへんしなぁ。
それやのにこんなにも懐かしく思うもんなんか。
あいつの顔見るのも久々やなぁ。

「た・だ・い・ま」
ドアを開けたは無表情でえ・誰と言った。
「何なんもぉ忘れたんかい!ひどいやっちゃなー」
一銭が軽く笑った。それはの本当の気持ちを知ってるから。
「ひどいんはどっちや!何の連絡もよこさんと…!」
その言葉を遮って目の前にいる懐かしい、愛しいひとを抱きしめる。
「ちょ、一銭!何なん急に」
あばれるを押さえつけるように。
「会いたかった」
腕に力がはいる。こいつ、こんな小さかったっけ。
「…都合ええやっちゃなぁ」
こんなんされたら許すしかないやんか。
飽きれたようにが言う。もちろん一銭にもだけどそれを許してしまう自分にもっと飽きれた。
次帰ってきても口聞いたらん。と決めてたのに。
も彼の背中に手を回した。


(2005.1.10 めるまがで発行したやつをちょいといじった。前回のと似てる!とか言うんは禁句☆)


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