そこには煙草の吸殻がいくつも落ちていた。
プ
ラトニック
その犯人をすぐ推定した子津はまたか…と少し呆れたように溜息を吐いた後
そこ角を曲がった校舎裏にいるであろう人物に大きめの声で言った。
「もーまたっすか黒豹さん!いい加減にしてくださいっす…ってあれ?」
自分が思っていた人物と違う人がそのいつもの場所にいたもんだから
子津は少しの間思考回路が停止したようにその場所から動かなかった。
「す、すいません!人違いっす!」
子津が慌てて頭を下げるといつも黒豹がいる場所にいる少し赤めの茶色の髪の毛をした女の子がそちらを見あげた。
「アンタが子津って人やな?」
子津はその女の子が自分の名前を知っていたことに驚き再びその場所から動かなくなってしまった。
何度かパチパチと瞬きをしていると、女の子は立ち上がり細身のジーンズについた砂を払った。
「黒豹や」
その女の子はそう言うとニッと笑った。
子津はやっと我を取り戻すと口を開いた。
「え?も、もしかして黒豹さんの妹なんすか?」
驚きを隠せず早口に発せられた子津の言葉に女の子は頷いた。
それを聞いて子津はやっと落ち着いた気持ちになる。
そういや黒豹さんが前に妹がいると話してたっけ。子津はそう思いその時のことを思い出そうと脳をはたらかせた。
子津がいつもの特別メニューを一度中断し休憩していると黒豹が嬉しそうに子津に言ったのだった。
「あんさんと同い年の可愛い可愛い妹がおるねん」
そうなんすか?と下手に追求したら延々その妹の話が続いて練習になかなか戻れないハメになってしまった。
失敗した。と子津は思う。
そして今その黒豹の妹、が目の前にいるのだ。
そしてまたここで考えをストップしざるをえなかった。
「さん僕と同い年でしょ?!なんで制服着てないんすか!?」
子津が慌ててそういうとはケラケラ笑った。
「スカート嫌いやもん」
子津はまた溜息をついた。
流石黒豹さんの妹だ。そう思って。
そしてまたハッと少し前にあった出来事を思い出す。
「煙草の吸殻捨てちゃいけないっすよ!!」
先生にバレたらどうなるんすか!と子津はがいうとはスマンスマンといつも黒豹が言うのと同じように言った。
子津はもう1度溜息を吐く。
「おもろいなアンタ」
そう言ってまたが笑う。
何がおもしろいんだこの人は。僕は全く面白くないというのに。
そう思い子津は目の前の人物に対してどう接したらいいのかを悩んでしまう。
はやはりケラケラと笑うだけだった。
「どうや。可愛いやろ。ワイの妹」
それから数日たったある日、黒豹はそう言って子津の顔を覗き込むとニヤリと笑った。
「なっ…」
子津は顔を赤くして言葉を失ってしまう。
「は渡さへんで」
そう言うとからかうように黒豹が笑った。
はちょくちょくこの校舎裏に遊びに来た。
そしてある日こう言った。
「本間はな、一銭に教えてもらう前から知っててん」
「何がっすか?」
流れる汗ををタオルで拭きながら子津が尋ねた。
「子津のこと」
さらりと言ってみせるに対して子津は驚いてさっきまでの行動を止めた。
「ど、どういうことっすか…」
つっかえながら子津がそういうとはニッコリ笑ってみせた。
「練習頑張りや」
そう言うと立ち上がって子津に背を向けて歩いていってしまった。
「ちょ、待ってくださいよさん…」
小さく呟かれた子津の声はには届かなかった。
今顔が熱いような気がするのはきっとさっきまでの激しい練習のせいだろう。
そう言い聞かせて子津は照れ隠しのようにドリンクを一気に流し込んだ。
「まいったなぁ…」
ライバルは黒豹さんっすね。
子津は小さく苦笑した。
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