あいのかたち・こいのいろ








はやさしすぎまさァ」
がこっちを見る。すこし、驚いたようなかお。それから眉をよせる。
「そんなことない。あたし、ほんとはこわい女よ」
俺は軽く笑ってみせた。
「女はみんなこわいモンですぜ」
「よく言うわ」
あきれたような声。
「で、例えば?」
「え?」また、と目が合う。
「どんな時、自分がこわい女だって思うんです?」
は目線を宙に泳がせた。
「そうだなぁ…総悟くんにお仕事がんばってね、って笑顔でいいながら心の奥では真選組なんてやめてほしいって思うときとか」
「へぇ、どうして」
が立ち止まる。もうすぐ屯所だ。時間が止まればいいのに、そう思った。
「だって総悟くんがいつ死んじゃうかわからないでしょ?」
あんみつ屋の前の椅子に腰掛けて何か食べている子供の姿が視界のはじっこにはいる。
「俺はそう簡単に死にやしませんぜ?」
でも、とは不服そうなかおをした。ずっと傍にいたいのに。
「自分はなんて欲深い女なんだろうなってこわくなる」
は、やさしすぎまさァ」
俯いていたがこちらを見た。
そろそろ土方さんが俺を捜しにくる。あぁこの手を離すのが名残惜しい。
俺なんてあなたの手足を拘束してでも傍においておきたいと思うのに。
あなたは、やさしすぎる。
「まだまだですねィ」
俺がふう、と小さく息を吐くとは首をかしげた。
「そろそろ戻らねェと」
離したくない。いとおしい。いと、惜しい。


(2005.1.28 何これ!勢いだけで書いたおはなし)

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