ーベルュールちょこれぃと




「なんでィ」

沖田はそれを受け取るとそう言った。
ピンクのリボンでかわいくラッピングされたそれ。
今日は2月14日だ。
隣をチラりと見れば部長である土方も同じそれを持っていた。
土方さんにピンクは似合わねェ、沖田はそう思う。
でももしかしたらこのむさくるしい防具をつけている自分にも似合わないのかもしれない。
沖田は手に持ったピンクの包みをじっと見る。
山崎がこちらに駆け寄ってきた。
でもそれは沖田に、ではなくて沖田の前にいるへだ。
先輩!これすっごく美味しいです!ありがとーございます!」
はそれを聞いてにっこり微笑む。
「ほんと?よかったぁ。ガトーショコラなんて作ったの初めてだからさぁ」
どうやらピンクの包みの中はガトーショコラらしい。
まぁるいそれの上に銀色のアラザンがのっていて見た目もとても洒落ていた。
「部員全員分作るの大変だっただろ。ありがとな」
土方が通り際にそう言っての頭をポンとなでた。
そうしてそのまま土方は更衣室に消えてゆく。
は剣道部のマネージャーだった。
沖田が先ほどから不満をもっているのはそのせいだ。
どうやらみんな更衣室へ向かったようで剣道場にいるのはと沖田のみだった。
「みんなと同じもんかィ。ショックだなァ」
沖田は肩をすくめてみせる。
「さっき山崎くんが食べてたの見た?」
「ガトーショコラだろィ?見ましたぜ」
の唐突な質問に少し疑問をもちながらも答える。
「あけてみてよ。それ」
がそれ、と言ったのは沖田の持っている淡いピンクいろの包みのことで。
沖田はしゅるりとリボンをとく。
はその様子をじっと見守っていた。
「あ」
沖田はその違いにすぐに気付いた。
箱の中に入っていたのはハート型のガトーショコラ。
「沖田のぶんだけハート」
がそう言って照れくさそうに笑ってみせる。
沖田はをぐっと引き寄せた。
「大事に食べまさァ」


(2005.2.11 お互い好きなんだけど付き合ってない。そんなふたり。Z組企画に投稿させてもらいました。)




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