「あー!山崎だー!いっしょにかえろ」

あたしがそう言うと山崎は振り返った。

「え、やだよ」

予想しなかった山崎の返事にあたしはきょとんとする。
そしてそれと同時にすこし寂しく思った。

「なんでよ」

「だってはずかしいじゃん」

山崎の言葉をあたしは不思議に思った。
最近の山崎はよくわからない。
前まであんなに仲良かったのにさ。

「なんで今更はずかしいとか言うわけ?酔いつぶれて道端にゲロ吐いた山崎を介抱してあげた仲じゃん」

「わー!もう!その話はナシ!いい加減忘れてよ!」

山崎が慌てて言った。それから少ししゅんとなった。
見てて飽きないやつだ。

「なんか俺かっこ悪いとこばっかしか見せてないじゃん…」

「いいんじゃないの。それが山崎だし」

「全然よくないよ!せめて好きなコの前ではかっこよくいたいって思…」

何を今更、そう思ってあたしが言ったとたん、熱くなって言い返した山崎にすこし驚いていたら
山崎は我に返ったように言いかけてた言葉をつぐんだ。

「ご、ごめん…何言ってんだろ俺…とっ、とにかくかっこいい男になってみせるから!」

そう言って山崎は逃げるように走っていった。
ほんとにおもしろいやつだなぁ。

あたしはひとり帰り道を歩きはじめた。
明日山崎に会ったら言ってやろう。


"今のままで充分かっこいいよ"って。




(05.07.22 山崎かわいい)

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